バイリンガルっ子の思い|日本語を使いたい・使う理由について考えてみる
こんにちは。
バイリンガル子育てをしていくと、バイリンガルはどうやってことば選びをするんだろうって思いませんか。
特に、お子さんが大きくなればなるほど、どのような思いで、日本語を話しているんだろう・・・とか、日本語を話さないのは、わからないからだけなの?と思うようなこともあるのではないでしょうか。
今日はある文献をもとに、バイリンガルがことばを使うこと、そのことばを維持するための背景について考えてみたいと思います。
はじめに
バイリンガルはどんな思いで、ことばを話すのでしょうか。単にバイリンガルの日本語や英語力だけ見ていても、わからないことは沢山ありますよね。
今回の論文は、バイリンガルの日本語力や英語力をはかるのではなく、バイリンガルが、2つのことばとどのように関わってきたのかをリサーチしたものになっています。
今回読んでみたリサーチの内容
先輩バイリンガルのインタビュー
リサーチでは、20代のアメリカの大学に通う3名の日本語・英語のバイリンガルにインタビューを実施したそうです。
それぞれの学習経験や、方法、習得過程は異なっているけれども、それに基づいて、日本語や英語についてどう思っているのか、インタビューをしたそうです。
20代というと、先の話過ぎて、自分のバイリンガル育児と結びつきにくいかもしれませんが、先輩バイリンガルさんの話は、今、目の前にしている小さなバイリンガルっ子たちの未来のように思います。
先輩バイリンガルさんの話は、知っておくだけでも、現在進行中のバイリンガル子育てをする際の心の余裕につながると思います!
複言語主義
このリサーチでは、複言語主義に焦点を当てています。複言語主義とは、1人の人が複数のことばを使っている状態のことをいいます。
その、知識や経験を使ってコミュニケーションをすることに重きをおくことです。
たとえば、チビが日本語・韓国語・英語を使っていく中で、ことばというものを、経験を通じて、どう思っているのかなどをとらえていくというものです。
まとめ
先輩バイリンガルさんのインタビューからわかったこと
まず、先輩バイリンガルさんたちのことばの使用と維持の要因は、それぞれのことばへの思いと強く関係しているようです。
英語がメインの状況であっても、家族との心で繋がっていたいという気持ちが、日本語の維持に関わっているようです。
また、日本語環境であっても、心の距離が近い友達などとの間で、英語を使っていれば、英語を使う選択をするそうです。
日本語や英語が上手かそうでないのかとは全く別に、「そのことばを使いたい」という強い感情から、ことばの選択をしているということです。
このことは、「上手に話せる・使える」ということよりも、むしろ、周りの人たちの存在やコミュニケーションといった点を重視しているということになります。
バイリンガルっ子に必要なこと
ことばの使用や維持が、本人の気持ちと強く関わりがあるというのであれば、その周りにいる大人は、バイリンガルっ子たちが「そのことばを使いたい!!」という気持ちにさせるようにすると良いのではないかと思います。
リサーチでは、アメリカに住んでいるときに、おばあちゃんからもらった手紙を読めなかったことに大ショックを受けた人がいたそうです。それがきっかけで、日本へ留学したり、日本にいったりすることが多くなったという経験が語られていました。「日本語で話したい!」という気持ちにさせる・・・それが一番大切なのではないかと、このリサーチを読んで強く感じました。
日頃気をつけていきたいこと
- 日々怒りすぎない:怒ってばかりいると、日本語は「怒られることば」になってしまうのではないかと思います。これには私、本当に気をつけなくてはいけないなと思っております・・・。日本語で怒りすぎないように、アンガーマネジメント学ばないといけないなあ・・・と切実に感じております・・・。
- 周りの協力を得る:「日本に帰ったら大好きなおばあちゃんと話したい!」とか、「日本のお友達と遊びたい!」という気持ちだと、日本語も維持していけるのではないかと思います。日本語や韓国語が「チビの周りにいる、大好きな人たちが話していることば」になると良いのではないかと強く思いました!!
- 日頃からバイリンガル友達と触れ合う:日々周りの人たちが複言語であることも大切だと思います。そういう環境であれば、「そういうものなんだ」という気持ちで、疑問に思うことなく、複数のことばを話していくように思います。
いかがだったでしょうか。バイリンガルっ子・・・。なかなか奥が深いです・・・。参考になれば幸いです!
参考文献
小泉聡子著 「日英バイリンガルの言語と情意に関する一考察 -複言語主義の観点から-」 桜美林言語教育論叢(6), 17-27, 2010